側弯症で注意すること|痛みや状態を悪化させないためのポイント

2025年04月9日

側湾症
側湾症

「側弯症(そくわんしょう)」とは背骨が左右に弯曲した状態で、背骨自体のねじれを伴うことがあります。通常、側弯症は小児期にみられる脊柱変形を指します。 左右の肩の高さの違い、肩甲骨の突出、腰の高さの非対称、胸郭(きょうかく)の変形、肋骨や腰部の隆起(前かがみをした姿勢で後ろから背中をみた場合)などの変形を生じます。側弯が進行すると、腰背部痛や心肺機能の低下をきたすことがあります。今回は、側弯症の人が日常生活で気をつけるべきポイントや、痛みや状態を悪化させないための対策について解説します。

側弯症の主な痛みや状態

側弯症の痛みや状態には個人差がありますが、一般的には以下のような特徴があります。

  1. 肩や腰の高さが左右で違う
  2. 一方の肩甲骨が出っ張って見える
  3. 背骨がS字やC字に曲がっている
  4. 長時間立っていると疲れやすい
  5. 腰痛や背中の痛みがある
  6. 呼吸がしづらい(重度の場合)
  7. 神経症状(麻痺やしびれ、痛み:重度の場合)

軽ければ日常生活に大きな影響はありませんが、重度になると内臓を圧迫し、呼吸や消化機能にも影響することがあります。

側弯症の種類

背骨

日本での側弯症の発生頻度は1〜2%程度で、女子に多くみられます。原因不明の側弯を特発性側弯症といい、全側弯症の多くがこのケースで60~70%を占めます。そのほか、脊柱の先天的な異常による側弯を先天性側弯症、神経や筋の異常による側弯を症候性側弯症といいます。側弯症の原因は様々ですが、大きく分けて以下のようなものがあります。

①特発性側弯症(原因不明)

最も一般的で、特発性とは「原因がわからないこと」を意味し、側弯症のうち多くを占めます。特に思春期に多く見られます。

②先天性側弯症

背骨(椎骨)に生まれつきの形の異常があるために発症する側弯症です。出生児から背骨に湾曲がみられることがあります。

③神経筋性側弯症

筋ジストロフィーや脳性麻痺、脊髄空洞症などの神経・筋肉性疾患が原因で発症することがあります。

④ 機能性側弯症(一時的な側弯症)

姿勢の悪さ(片方だけに負担をかける姿勢)や、足の長さの違い(脚長差)、骨盤の歪みなどが原因で発症します。腰痛やヘルニアによる痛みの回避姿勢や、背骨自体に異常がなく、姿勢や痛みの原因で一時的に弯曲することもあります。

側弯症で注意すべきこと

側弯症で注意すべきことは主に以下になります。

①正しい姿勢を意識する(長時間同じ姿勢を取らない)

同じ体勢を長時間続けないように注意します。長時間の座位(座った姿勢)は脊柱の側弯や後弯(こうわん)の進行につながることがあります。仕事や勉強中は、1時間ごとに軽いストレッチや姿勢を変える、スマホやパソコンを使う際には、画面の高さを目に合わせるなどの工夫をすることで身体への負担を軽減できます。

②重い荷物を片方で持つ

重い荷物を常に同じ側で持っていると、身体のバランスが崩れ、側弯症を悪化させる可能性があります。特に、成長期のお子様の場合、身体がまだ発達段階にあり、重い荷物を同じ側で持ち続けることで、側弯症が進行しやすくなる可能性があります。対策としては、リュックサックを両肩に均等にかける、ショルダーバッグはこまめに左右で持ち替える、重い荷物を持ち運ぶ際はキャリーバッグを使用するなど工夫することで身体への負担を軽減できます。

③適度な運動を取り入れる

体幹を強化するストレッチやヨガ、ピラティスなどが効果的です。激しい運動よりも継続しやすく、軽い運動を心がけます。スポーツをするときは、身体に負担をかけすぎないように注意します。

④寝具を工夫する

柔らかすぎるベッドや、体が沈み込みすぎるマットレスは側弯症の症状を増悪させる可能性があります。適度に硬さのあるマットレスを使用し、寝ている時に身体に負担が掛かりすぎないように意識しましょう。

側弯症の人におすすめのエクササイズ

側弯症の人におすすめの運動は、背中や体幹の筋肉を左右バランスよく鍛えることで側弯による体幹の左右非対称性を軽減させることで身体への負担を減らします。以下のような簡単なエクササイズをぜひ取り入れてみましょう。

①猫のポーズ(キャット&カウ)

背中の柔軟性を高め、姿勢を整えるのに効果的です。

  1. 四つんばいになり、手は肩幅に開き、肩の真下に手のひらをつく。脚は腰幅に開き、股関節の真下に膝をついて、つま先を寝かせます。
  2. 息を吐きながらお尻の方の背骨から(尾骨、仙骨、腰椎、胸椎、頸椎)背骨を丸めます。

②ブリッジエクササイズ

背筋やお尻の筋肉を鍛え、体幹を安定させます。

  1. 寝て仰向けになり、膝を立てて
  2. お尻をゆっくり上下させます

③背中を伸ばす運動

  1. 寝て仰向けになり、両手にバスケットボールやバレーボールを持ちます。
  2. ゆっくりと左右の腕の角度が同じになるように頭の方にボールを上げていきます(左右均等に腕を動かすことで背中が均等に伸ばされます。)

④エアロバイク

側弯症の影響で左右の足の筋力が不均衡な場合は、エアロバイク(自転車漕ぎ)などで左右均等に足を使うことで不均衡が解消されやすくなります。

まとめ

側弯症には、突発性側弯症、先天性側弯症、神経筋性側弯症、機能性側弯症などがあります。側弯症で注意すべきこととしては、正しい姿勢を意識すること、重い荷物を片方で持たないようにすること、適度な運動を取り入れること、寝具を工夫することなどがあります。軽度であれば日常生活の工夫で痛みや状態を管理できることも多いですが、重度になると医療期間での治療が必要になることもあります。余裕があればぜひご紹介したエクササイズを取り入れ、無理のない生活習慣を心がけることが大切です。

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