ストレッチの誤解と新常識とは
ストレッチは、柔軟性を高めたり、
体をリフレッシュさせたりするために
多くの人に取り入れられてきました。
しかし、過去によく言われていた方法や
一般的に信じられていた効果の中には、
近年の研究によって見直されているものも少なくありません。
- ストレッチは筋肉を柔らかくする
- ストレッチは怪我の予防につながる
- ストレッチにダイエット効果がある
- ストレッチには疲労回復効果がある
- ストレッチすると姿勢が良くなる
- 筋肉痛にならないためにストレッチする
といった説は、現在では必ずしも正しいとは言えず、
目的やタイミングに応じた適切な方法が求められています。
このページでは、ストレッチにまつわる
誤解や新しい常識について解説し、
あなたの健康とパフォーマンス向上に役立つ
正しい知識をお届けします。
正しいストレッチの方法を知ることで、
体を無理なくケアし、
より快適な生活を送るための第一歩を踏み出しましょう。
そもそも、
身体の硬い人・柔らかい人の差とは
「私は身体が硬い」
「あの人は柔らかい」
といった表現を耳にすることがあります。
ですが、この違いは単に柔軟性の有無だけ
では説明できません。
実は、痛みの感じ方や筋肉の量といった
要因が深く関わっています。
痛みの感度と柔軟性の関係

柔らかい人は、
痛みに対する感度が低い傾向があります。
そのためストレッチや動作中に
大きく動かしても「痛い」と感じにくく、
結果として可動域が広く見えるのです。
一方で硬い人は、痛みを感じやすいことが多く、
早い段階で「これ以上は無理」と
制限をかけてしまいます。
そのため、柔軟性が低いように
見えてしまいます。
筋肉量が与える影響
もうひとつ大切な要因が筋肉の量です。
筋肉が多い人は物理的に筋肉が太くなるため、
同じ力で引っ張っても動きに制限がかかり、
硬く見えがちです。
ただし、筋肉が多いということは
身体の強さや安定性に繋がるため、
必ずしも柔軟性が劣っているわけではありません。
ストレッチの誤解
ストレッチしても
筋肉は柔らかくならない

ストレッチをすると、
筋肉が柔らかくなったように思うことがあります。
しかし、実際には筋肉そのものが
柔らかくなったわけではありません。
ストレッチによって最初にあった痛みが軽くなり、
その結果「もっと伸びるようになった」
と錯覚しているのです。
この痛みの軽減には
「痛みに慣れる」
という体の反応が関係しており、
筋肉の柔軟性そのものが向上したわけではありません。
筋肉の柔らかさや硬さに影響する要因
筋肉の柔らかさ・硬さは、
ストレッチだけで決まるものではありません。
- 遺伝や体質などの個人差
- 筋肉量の違い
これらが大きく影響しています。
特に筋肉量が多い人は、
筋肉を伸ばすのにより大きな力が必要となるため、
外見上「硬い」と感じられることがあります。
しかし、これは必ずしも
柔軟性が不足しているという意味ではありません。
ストレッチは怪我の予防には使えない
「ストレッチをすれば怪我を防げる」
という考え方は、長い間多くの人に信じられてきました。
しかし実際には、
ストレッチだけで全ての怪我を防ぐことはできません。
研究によると、
ストレッチをしている人とそうでない人の間で、
怪我の発生率に大きな差は見られないという報告もあります。
ストレッチで効果がある怪我・ない怪我
- 効果がある場合
肉離れなど筋肉に関わる怪我については、
ストレッチが予防に役立つことがあります。 - 効果がない場合
骨折・脱臼・靭帯損傷など、
骨や靭帯・関節を守ることには
ストレッチは直接的な効果がありません。
大切なのは
「総合的な体のケア」

怪我の中には予防できるものもあれば、
予防が難しいものもあります。
だからこそ、ストレッチだけに頼るのではなく、
- 筋力をつけること
- 正しい体の使い方を身につけること
を組み合わせることが大切です。
ストレッチは体を整える一つの手段にすぎません。
体を守るためには、
複数の方法を組み合わせて
総合的にケアすることが重要です。
ストレッチで体型は変わらない
「このストレッチで痩せた!」
という情報をSNSやYouTubeで見かけることがあります。
しかし実際には、
ストレッチだけで体型を大きく変えることは難しいのです。
ストレッチの消費カロリーについて
ストレッチは体を整えたり、
柔軟性を高めたりするには有効ですが、
ダイエットに必要な 大きなカロリー消費 は
ほとんど期待できません。
そのため、ストレッチだけに頼って
体重を減らそうとするのは現実的ではありません。
効果的に体型を整えるには

健康的に痩せるためには、
- 食事のバランスを整えること
- 運動でエネルギーを消費すること
この2つの組み合わせが大切です。
正しい知識を持って取り組むことで、
効率よく、そして安心して健康的な体型
を目指すことができます。
ストレッチは疲労回復には使えない。

運動後の疲れをとるために
ストレッチをする方は多いと思います。
しかし研究によると、ストレッチには
疲労そのものを回復させる効果はない
ことが分かっています。
例えば、運動後に起こる
筋力の低下やエネルギー消耗といった
”身体的な疲労”
は、ストレッチだけでは回復しないとされています。
ストレッチの効果は
「疲労感」への働きかけ
一方で、ストレッチには
疲労感を軽くする効果 があります。
筋肉を伸ばすことでリラックス効果が得られ、
気持ちがリフレッシュし
「疲れがとれた」と感じやすくなるのです。
効率的に疲れをとるために大切なこと
本当に疲労を回復させるには、やはり
十分な休養 と 適切な栄養補給
が欠かせません。
ストレッチはそのサポートとして取り入れることで、
心と体を快適に保つ手助けとなります。
大切なのは、ストレッチの役割を正しく理解し、
無理のない形で生活に取り入れることです。
ストレッチで姿勢で良くならない
「ストレッチで姿勢が良くなる」
と思っている方は少なくありません。
しかし、実際には
ストレッチだけで姿勢を根本から整えることは難しい
のです。
一時的には良く見えるけれど…

猫背や巻き肩などの姿勢の乱れに対して
ストレッチを行うと、筋肉が一時的にゆるみ、
姿勢が良くなったように感じることがあります。
けれども、しばらくすると
元の状態に戻ってしまう
ことがほとんどです。
なぜ元に戻ってしまうのか?
それは、筋肉の硬さは
「原因」ではなく「結果」だからです。
ストレッチで筋肉を柔らかくしても、
姿勢を崩す本当の要因――
- 体の使い方
- 筋力のバランス
- 日常の習慣
これらが変わらなければ、
また同じ姿勢の乱れが出てしまいます。
ストレッチは筋肉痛予防にならない

「運動前後にストレッチをすると筋肉痛を防げる」
と思われがちですが、実際の研究では
その効果はほとんどないことが分かっています。
ストレッチをしても
筋肉痛を完全に防ぐことはできません。
ただし、すでに筋肉痛があるときに
ストレッチを行うと、リラクゼーション効果によって
痛みの感じ方を和らげることができます。
筋肉痛はなぜ起こるのか?
筋肉痛が起こる理由は、
いまだ完全には解明されていません。
ただ、普段よりも体を使いすぎたり、
運動不足の状態から急に運動したりすると
発生しやすいとされています。
前日に激しい運動をしたなど、
はっきりとした原因がある場合は
病気や怪我ではありません。
むしろ、筋肉が新しい刺激を受けたサイン
とも言えるため、必要以上に心配する必要はないのです。
筋肉痛がなくても筋肉は育つ
「筋肉痛がないと効果がない」
というのは誤解です。
筋肉は、筋肉痛の有無に
関係なく成長(筋肥大)します。
大切なのは、自分のペースで
無理なく運動を続けていくことです。
ストレッチは筋肉痛の予防ではなく、
リラックスや痛みの軽減を目的に
取り入れるとよいでしょう。
まとめ
これまで「ストレッチの誤解と新常識」
についてお伝えしてきましたが、
大切なのは間違った期待を抱くことではありません。
リラクゼーションや心地よさを楽しむ気持ちで、
気楽に取り入れること がポイントです。
続けることが一番の鍵
ストレッチの効果を最大限に活かすには、
何よりも「続けること」が大切です。
「疲れたな」と感じたときに体を伸ばすだけでも、
疲労感がやわらぎ、
体も心も軽くなるのを実感できます。
また、ストレッチ中に感じる
「気持ちいい」という感覚は、
体を伸ばす効果だけでなく、
リラクゼーションによる 心の落ち着き にも
つながります。
深呼吸をしながら軽く伸ばすだけで、
気分がリフレッシュします。
難しい動きは必要ありません
特別な方法を覚える必要はありません。
無理のある動きをするよりも、
軽く筋肉を伸ばす程度で十分です。
ストレッチは「体と心をゆっくり整える時間」
と捉え、日常生活に自然と取り入れてみましょう。
習慣にすることで得られること
正しい知識を持ち、
無理なく心地よく続けていくことでストレッチは
心身のバランスを支えてくれる大切な習慣 になります。




