ぎっくり腰の時にやってはいけないこと
2025年04月2日

ぎっくり腰は、突然腰に激しい痛みが走り、動けなくなるほどのつらい痛みや状態を呈します。 発症後は対応次第で回復のスピードが変わるため、正しい対処が重要になります。
ぎっくり腰の主な症状

ぎっくり腰の痛みや状態は人によって異なりますが、主に以下のような特徴があります。
①突然の強い腰の痛み
物を持ち上げた瞬間、またはくしゃみをした時に激痛が走ったり、腰に「バキッ」「グキッ」といった感覚があり、動けなくなります。ぎっくり腰は筋肉や靭帯の損傷、炎症が原因となることが多いため、強烈な痛みを伴います。
②動くと痛む
歩くだけで腰にズキズキとした痛みを感じます。体をひねる、立ち上がる、歩くと腰の痛みが増す場合はぎっくり腰の可能性があります。 ひどい場合は、寝返りを打つだけでも激痛が起こることもあります。炎症が起きているため、無理に動かすとさらに悪化する可能性があります。
③腰に力が入らず、支えが必要になる
腰の痛みのため、立ち上がるときに手を膝に添えないと立ち上がれなくなります。また、まっすぐ立つことができず、前かがみの立ち方になります。歩くときには、腰をかばいながらゆっくり動くことしかできない場合が多いです。痛みを気にするために体が無意識にバランスを崩し、姿勢や歩き方が普段と違う姿勢になることも特徴的です。
④痛みの範囲は腰周辺が中心(通常は足に影響がない)
腰の一点が特に痛いことが多いです。お尻や胸に少し痛みが広がることがあります。ただし、通常のぎっくり腰は腰周辺の痛みが中心ですが、神経を圧迫する場合はお尻・足のしびれやお尻・足の感覚異常が起こることもあります。
⑤痛みが数日~1週間程度続く
発症直後が最も痛く、2~3日がピークとされています。1週間ほどで徐々に痛みが和らぐことが多いです。ただし、無理をすると長引くこともあります。安静にして正しいケアを行えば、多くの場合は1~2週間で回復します。
ぎっくり腰の主な原因
ぎっくり腰は、腰の筋肉や関節、靭帯に大きな負担がかかることで発症します。以下のようなことが原因になる可能性があります。
① 筋肉や靭帯の損傷
・重いものを持ち上げる
・中腰の状態で急に身体をひねる
・無理な姿勢を長く続ける
これらの動作は腰の筋肉や靭帯に負担な負担がかかり、損傷や炎症を起こす可能性があり、腰に強い痛みが発生します。
② 背骨(椎間板)への負担
・長時間の座り仕事や運転
・前屈みの姿勢を取ることが多い
・加齢による椎間板の変性
椎間板に過度な圧力がかかると、ぎっくり腰を誘発しやすくなります。 特に、椎間板ヘルニアのリスクがある方は注意が必要です。
③体幹の筋力・柔軟性の不足
・運動不足
・姿勢の悪さ
・体幹の筋力低下
腹筋や背筋が弱いと、腰に負担が集中しやすくなり、ぎっくり腰のリスクがあります。また、股関節や背中の柔軟性が低い場合も腰への負担が大きくなります。
④ 冷えや血行不良
冬場や冷房のよく効いた部屋に長時間いることが多い場合や運動不足による血行不良で体が冷えている場合にぎっくり腰になる可能性があります。血流が悪くなると、筋肉が硬くなりやすく、急な動きに対応できないことがあります。
ぎっくり腰の症状が重い場合の注意点
ぎっくり腰の症状が通常と異なる場合、別の病気が隠れている可能性があります。以下のような症状がある場合は、早めに病院を受診しましょう。

①足に強いしびれや感覚の異常がある
椎間板ヘルニアなどの他の疾病の可能性があります。
②排尿・排便に異常がある
重度の神経圧迫の可能性があります。早期に病院を受診し、診断を受ける必要があります。
③数週間経っても痛みが引かない
ぎっくり腰以外にも慢性疾患がある可能性があります。
ぎっくり腰になった時の正しい対処法
ぎっくり腰は突然起こるため正しい対処法を知っておくことが重要です。間違った対応をしてしまうと回復が遅延するだけでなく、再発のリスクも高くなります。
①早期はとにかく安静にする(無理に動かない)
急激に腰が痛くなった場合、無理に動かずに、その場で楽な姿勢をとります。寝る時も上向き(仰向け)が痛い場合は、横向きになり膝を軽く曲げます。「動いた方が治る」と思われることがありますが、発症直後はとにかく炎症を抑えるために安静が必要です。
②冷やして炎症を対策(発症直後のみ)
氷や冷却シートをタオルに包んで、痛い部分を15~20分冷やします。ぎっくり腰の痛みは炎症が原因なので、発症直後は、温めるのではなく冷やしましょう。
③ 2~3日後からは温めて血行を良くする
炎症が治ってくる2~3日ごには、お風呂に入って腰を温めます(長湯は避けましょう)。 腰を温めることで筋肉が緩み、血流が促進されるため回復が早まります。
④痛みが落ち着いたら、少しずつ動く
3日以上寝たきりになると、回復が遅延する可能性があります。 痛みが和らいできて動けるようになったら、軽く歩くなどして徐々に日常生活の中で動くようにしていきます。適度に動くことで血流が改善し、早期回復につながります。
ぎっくり腰になった時にやってはいけないこと
ぎっくり腰になってしまった時に避けるべきことは以下になります。

①無理に動く
ぎっくり腰になって動けない時期が過ぎると、腰が固まったように感じ、すぐに動かさなければと思う方も多いと思います。しかし、急に動かすと再発する可能性があるため、まずは普段の日常生活を過ごせる状態になってからゆっくり運動習慣を身につけていく必要があります。痛みが落ち着くまで、最低限の動きを心がけるだけで十分です。
②痛いところを温める
「腰が痛い=血行を良くすれば治る」と思い、お風呂やカイロで温めようとするのは控えましょう。ぎっくり腰の原因は筋肉や靭帯の炎症であり、温めると炎症が広がり、痛みが悪化する可能性があります。発症直後は氷や冷却シートで15~20分ほど冷やすことで炎症による痛みを緩和することができます。冷やしすぎないように注意が必要です。発症して2〜3日して炎症が治ってから温めるようにします。
③痛み止めを飲んで無理に動く
ぎっくり腰になったとき、痛み止めを飲んで無理して仕事に行ったりすると、なかなか治らずに逆に長期間周りの方々を困らせることになりかねません。痛み止めを飲んで痛みが一時的に抑えられても、根本的な治癒にはなっていないことに注意が必要です。思い切ってしっかりと安静・休養を取ることで早期回復を目指します。
④マッサージやストレッチをする
「腰周りの筋肉が固まっているから痛い」と思い、強めのマッサージやストレッチを自ら行う方がいるかもしれません。しかし、これは逆効果です。発症直後はマッサージやストレッチを行わず、数日経ち、痛みが落ち着いてから軽いストレッチを取り入れていくのがおすすめです。必ず痛みがない範囲で行ってください。
⑤自己判断して放置する
特に、痛みが強くて全く動けない、足にしびれがある、排尿・排便障害がある場合は、ヘルニアなどの別の疾患が隠れている可能性もあるため、自己判断せず、医療機関を受診し、診察を受けることが大切です。
まとめ
ぎっくり腰が起きた時にやってはいけないことは、無理に動くこと、すぐに温めること、痛み止めを飲んで無理に動くこと、発症直後にマッサージやストレッチをすること、自己判断で放置することなどが挙げられます。おすすめの対処法としては、発症直後は安静にすること、腰を冷やして炎症を抑えること(発症直後のみ)、徐々にゆっくりと動く量を増やしていくこと、3日以上激しい痛みが続く場合は病院を受診することも大切です。ぎっくり腰は突然やってきて、急激な腰の痛みのためにいつも通りの生活ができなくなってしまう病気です。ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。