男性にも多い!?メニエール病の原因と対処法
2025年05月27日

メニエール病というと「若い女性がストレスでめまいを起こす病気」というイメージがあるかもしれません。しかし、メニエール病の原因は「内リンパ水腫(内耳のリンパが増え、水ぶくれの状態)」で、ストレスだけが原因ではなく、男性にも発症します。今回はメニエール病の原因と対処法、予防について解説します。
メニエール病とは
メニエール病は、内耳の内リンパ水腫(リンパ液が過剰にたまった状態)を原因とする疾患で、回転性めまい・難聴・耳鳴り・耳閉感の4大症状を特徴とします。これらの症状は10分~数時間続く発作として繰り返し現れ、特にめまい発作時には嘔吐や冷汗を伴うことがあります。診断には「聴覚症状を伴うめまいの反復」が必須条件とされ、他のめまい疾患との鑑別が必要です。
疫学的特徴
従来は30〜50代の女性に多いとされていましたが、近年では高齢男性の発症増加が報告されています。日本の1970年代の調査では人口10万人あたり30~40人の発症率でしたが、2013年のデータでは15.8人に減少しています。ただし、60歳以上の高齢者では有病率が高く、加齢に伴いリスクが上昇する傾向があります。患者の約70%が両耳ではなく片耳に症状を示すことも特徴です。(※1)
メニエール病の原因
メニエール病は、内耳にあるリンパ液が過剰にたまる「内リンパ水腫」という状態が引き金となって発症します。内耳には聴覚やバランス感覚をつかさどる組織があり、リンパ液が増えて内耳がむくむことで、激しいめまいや難聴、耳鳴り、耳の詰まり感などの状態が繰り返し現れます。ただし、なぜリンパ液がたまるのかという詳しいメカニズムは現在もはっきりとは分かっていません。発症や悪化の背景には、過労やストレス、睡眠不足、不規則な生活、几帳面な性格や精神的な要因が関係していると考えられています。
メニエール病の治療と対処法
治療の基本は、薬物療法と生活習慣です。急性期には、めまい発作や吐き気などの症状を抑える薬や、内リンパ水腫を改善する利尿薬などが使われます。状態が落ち着いてきたら、聴力の回復や再発予防を目指し、規則正しい生活やストレスコントロール、十分な睡眠が重要になります。
最近では、水分を多めに摂取する治療や有酸素運動、心理的なケアも取り入れられています。減塩食やカフェイン・アルコールの制限も有効とされています。メニエール病は、ストレスや睡眠不足、過労などの生活習慣が大きく関わるため、まずは自分の生活リズムやストレスの原因を見直すことが大切です。しっかりと休養をとり、ストレスを発散し、十分な睡眠を確保することで状態が落ち着くこともあります。状態が安定してきたら、無理のない範囲で有酸素運動を取り入れるのも効果的です。
メニエール病に有効な有酸素運動
メニエール病の発作予防には、有酸素運動が非常に効果的であることが専門家や複数の臨床報告から明らかになっています。(※2)
特におすすめされるのは、ウォーキング、ランニング、水泳、エアロビクス、自転車など、「軽く息がはずみ、少し汗ばむ程度」の全身運動です。運動の目安は、1回1時間以上を週3回以上、心拍数が1分あたり100~120回程度になる運動が推奨されています。(※2)
有酸素運動は、内耳の血流を解消し、内リンパ液の過剰な貯留を軽減することで、めまいや難聴の解消や再発予防につながると考えられています。また、ストレスの軽減にも役立つため、メニエール病の発症や悪化の予防にも効果的です。状態や体力に合わせて無理のない範囲で始め、継続することが重要です。
メニエール病の発作を予防するための生活習慣
メニエール病の発作を予防するには、まず規則正しい生活リズムを保つことが基本です。特に、十分な睡眠を確保し、過労や睡眠不足、ストレスを避けることが重要とされています。ストレスや疲労の蓄積は発作の大きな引き金となるため、日常的にリラックスする時間を持つこと、無理をしないことが大切です。
食生活では、塩分を控えめにし、バランスの良い食事を心がけることが推奨されます。塩分の過剰摂取は体内に余分な水分を溜めやすくし、内耳のリンパ液増加を招くため、減塩を意識しましょう。また、カフェインやアルコール、香辛料などの刺激物も控えめにし、暴飲暴食を避けることが望ましいです。適度な有酸素運動や1日1.5〜2L程度の水分摂取も、発作予防や体調管理に役立つとされています。ただし、既往の疾患をお持ちの方に関して運動は主治医と相談しながら無理のない範囲で行いましょう。さらに、喫煙を控える、騒音や気圧変化を避ける、規則正しい食事時間や起床・就寝時間を守るなど、自律神経のリズムを整える生活も発作予防に効果的です。まとめると、ストレス・過労・睡眠不足を避け、減塩とバランスの良い食事、適度な運動、規則正しい生活リズムを意識することがメニエール病の発作予防につながります。
まとめ
メニエール病は内耳のリンパ液過多が原因で、めまい、難聴、耳鳴り、耳閉感が繰り返し起こる病気です。以前は若い女性に多いとされていましたが、近年は高齢男性の発症も増えています。過労やストレス、睡眠不足などが発症に関わると考えられています。治療は薬物療法や生活習慣の改善が中心で、有酸素運動も有効とされています。予防には、規則正しい生活、ストレス軽減、減塩食などが重要です。
※2:https://www.jstage.jst.go.jp/article/otoljpn1991/18/2/18_2_126/_pdf